3月8日、日経新聞を読んでいて、京成電鉄のオリエンタルランド株の売却についてのニュースを知った(京成電鉄、オリエンタルランド株1%売却 約850億円相当)。この記事によるとざっくりと京成電鉄の時価総額1.2兆円に対して、保有するオリエンタルランドの株式評価額が1.8兆円であり、実施PBRが1を割り込んでいる状況であるそうだった。
「これはめちゃくちゃにお買い得な株なのでは」と思い、いてもたってもいられず京成電鉄の株式を注文。6,365円で約定。しかし、その日以降も株価はズルズルと下がり続け、現在も含み損を抱える状況になってしまった。
京成電鉄がオリエンタルランド株を売却した背景には、物言う株主のパリサーや東京証券取引所からの資本効率改善の圧力があるそうだけれど、売却規模が1%と小規模であったことや、売却した資金の活用先が明確でないことから、市場は失望し、利益確定売りが進んだと報道されている。
株を買ってしまった手前、京成電鉄のIRを読んでみたところ、売却の規模や特別配当や自社株買い以外の用途についての言及がなく、確かに今回のオリエンタル株の売却についての意図が見えづらい印象を受けた。
売却規模が小さい点については、一度に大量に売却することは割安に売らざるを得なかったり、オリエンタルランドに対しても悪影響を及ぼしかねないので、少量ずつ継続的に売却する必要がありそうなので、納得感はある。
京成電鉄がディズニーランドの誘致に関与し、長年にわたりオリエンタルランド株を保有し続けてきたことは、ビジネス上の大成功と言える。しかし、現状では、京成電鉄とオリエンタルランドとの間にビジネス上のシナジーはほとんど見られない。(京成電鉄沿線の住民は除いて、ディズニーランドへはJR京葉線を使って行く訳ですし。ぱっとみたところ、ディズニーの周辺に京成グループのホテルもないようだ。ディズニーランド周辺でバスやタクシーの運行とかはあるかもですが、そこまでは調べてない。)
京成電鉄にとっての本質的な課題は、1.8兆円のオリエンタルランド株を手放したときに活用できる莫大な資金の投資先を作れていないことにあると思う。鉄道ビジネスは高い成長が期待できないと言われているけれど、それでも現状のままでは、京成電鉄はジリ貧になりそうだ。
成田空港から羽田空港への都心からの利用空港のシフトによる利用者の減少、少子高齢化/人口減による沿線不動産開発の競争激化など、厳しい競争環境に立たされています。つくばエクスプレス沿線や流山市の子育てニーズで話題になる一方で、京成沿線はほとんど耳に入ってこない。
これらの事情を考えると、京成電鉄は投資戦略を明確にするべきだと思う。具体的には、オリエンタルランド株の売却によって得た資金の活用先を明示し、その資金をどのように活用して企業価値を高めるのか、そのビジョンを示すべき。(そして株価を再び上げてほしい!)
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