「刑務所なう。完全版」を読んだ感想

何かのきっかけでホリエモンが刑務所で介護をしていた、という話を見て、あのホリエモンも偉いなぁと思って興味を持って手に取った本。10年くらい前の話になるので時事ネタの言及など懐かしいなと思う部分もありつつも楽しく読めた。

書籍についてはライターに書かせているということを公言しているが、これは本当に本人が書いているのが明らかで、1-2冊読んだことのある他の書籍とは毛色が違って、本人の人柄が伺える側面が多かった。(不遜だと思われているイメージもあるけれど、拘置所で人と話せないことの辛さとか、東大時代の恩師が面会に来たときの言葉遣いなど、意外と普通な人だなと感じた。)

日記ということもあり、ただひたすらと刑務所での生活を記述している部分も多く(特に毎日の食事の記録とか)、文章としては単調さもあるし、さっと読み飛ばしてしまう部分もあるけれど、だからこその刑務所生活のリアリティや長期にわたる刑務所生活における心情の変化や体調の変化を読み取ることができるようにも思った。

著者のキャラクターとして、割と率直な目線で物事を評価しており、長野の刑務所の飯は美味いとか、冬は寒いとか、いいものはいい、悪いものは悪いと表現する点も面白かった。後日のニュース記事や本人のコメントによるとこの書籍がきっかけで長野刑務所の冬場の暖房が改善されたということだ。

ただ、書籍としては釈放までは掲載されておらず1年半くらいが経過したところで、突然終了してしまう。出所が近くなっての心境の変化は更に面白くなりそうなのに、やや肩透かしだ。どうやら別の書籍で掲載しているらしく、このあたりは商売上手だなと思いつつ探して読んでみようと思った。

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