Netflixの地面師ブームをきっかけに、小説を読んでみた。演出が多く、面白かったが、もっとノンフィクション的な視点で地面師について知りたいと思い、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」という本を手に取った。その感想をまとめる。
内容の理解が難しい
本書はルポルタージュであり、現実の事件を扱っているため、登場人物が多い。また、複数の事件を扱っているが、時系列で記述されていないため混乱しやすい。そもそも地面師詐欺自体が、取引の複雑さを引き起こしている。
地面師詐欺グループの実態
地面師詐欺グループは非常に丹念に物件の調査を行い、書類の偽造やなりすまし役の手配にも労力をかけている。このエネルギーや能力を合法的なビジネスに活かせば、それなりに成功できるのではないかと感じた。しかし、正業の不動産デベロッパーで働きながら、どうしても攻略できない物件に手を出すために地面師に頼るケースがあるのも興味深い。不動産取引は当たれば大きい業界だと実感した。
多様な詐欺スキーム
地面師詐欺のスキームは多様だ。住宅ローンを使った銀行からの詐取、1つの取引で二重に詐欺を行う手法、親族を詐欺に巻き込むケースなど、詐欺の手口には驚かされる。彼らのスキーム構築能力には目を見張るものがある。
狙われる土地の特徴
地面師に狙われるのは、不動産価値が高く、相続人のいない高齢者の土地という共通点がある。少子高齢化社会を考えると、このような詐欺は今後も増えるのではないかと感じた。
小説「地面師」とのリンク
小説「地面師」で引用されているようなシーンが本書でも見られ、それが非常に面白かった。小説と地面師のリアルな姿が答え合わせのようにリンクするので、セットで読むと興味深い。
昨今の地面師ブームに乗って、読んでみるのも面白い一冊だと思う。